10月29日のスーパーアニイチで歌唱中の大橋彩香さんに向けて客席からサイリウムが投げ込まれるといった出来事から1か月が経った11月30日、ホリプロが今後主催する大木貢祐・大橋彩香・木戸衣吹(every♥ing!)・田所あずさ・Machico・山崎エリイ(every♥ing!)の公演でのペンライト使用を含め様々な行為が規制され話題となりました。
規制の要点を簡単にまとめると、
- ペンライトやサイリウムの利用禁止
- 「適切ではない大声を張り上げる、MIXなどの行為」禁止
以上の二つが気になりますね。
実際、現場の雰囲気からすれば大橋彩香さんやevery♥ing!のイベントではペンライトやサイリウムといったいわゆる「光り物」を振ることは大いにアリだと思いますし、もし無くなったら……と考えると寂しいと感じざるを得ません。
また、「適切ではない大声」とぼかしてある点にはホリプロの迷いが見える気がしますし、過去、every♥ing!の現場でもMIXや口上が受け入れられていた時期があるということも聞きます。
「事件」が発生したために規制を強化するのはある意味では当然のことかもしれませんが、ファンの間では一部の軽率な行動が全体の楽しみを奪う、との声もかなり聞こえてきました。
果たしてこの基準を定めたのは誰のためなのでしょうか。
ライブのレギュレーションには大きく分けて2段階の意味があると考えています。
一つはイベントを事故等を起こさず円滑に、安全に運営するため。ダイブ・モッシュ・リフトの規制などはこちらの目的が強いでしょう。光り物規制もこちらに入るかと思われます。
もう一つは、来場者がなるべく均等に楽しみを享受できるようにするため。
こちらの目的を達成するために制定されるレギュレーションとして、大声やMIXの禁止が挙げられるのではないでしょうか。
僕がTwitterでリンクを投稿したらバズっていた記事ですが、こちらが状況をかなり分かりやすく纏めてあると思います。細かいところに突っ込んだら結構事実と違う部分もあるんだけど、そこは枝葉末節ということで目をつぶっていただけると幸いです。本当のことばっかじゃないけど、大方の流れは捉えられてますよということで参考に。
こちらを読むと、「アイドル文化の流入」が声優現場を変質させつつある、というように読み取れます。オタ芸、口上やMIX、イェッタイガー等の一部の特殊なコールなどはもともとアイドル文化圏発祥のものでしょうし、アイドル文化が流入したことにより声優現場が変質しているということは確かでしょう。
もともと声優文化圏にいたファンからしてみればかなり異質な新規要素と受け止められがちなアイドル文化ですが、それがある程度声優現場に根付いていることから考えると、そこにもやはり”楽しさ”というものが少なからず存在しているからこそ声優現場に異文化が流入しているのではないでしょうか。
その”楽しさ”をよりも旧来の声優現場の雰囲気を楽しみたい人たちと、アイドル文化を楽しみたい人たちの間で摩擦が起きているのが最近の声優現場です。
ただ、新しい楽しさを持ち込みたいからと言ってサイリウムを投げたり身内で勝手に盛り上がってやんちゃをするのは違いますよね。少し前にはアニワラで生の鯖を振って刑事訴訟まで持ち込まれたオタクもいましたが、やはり他人に確実に危害を与え、そして傍目に見ても十中八九「つまらない」「意味が分からない」と言われる身内ネタを現場でやって帰っていくのは迷惑でしかありません。
この辺りは現場にいて欲しくないオタクということで誰もが共通認識を抱いていると思います。
ただ逆に、旧来の声優現場の雰囲気を楽しみたい人たちに対して、若い世代が反感を抱いているのも事実です。曲の雰囲気に合わないコール(フワフワ通常コール)、MC中に泣く演者に向かって大声を掛ける(がんばれー!!!(クソデカ大声)(独り言))、等の行為がやり玉に挙げられるのはもはやライブ前・ライブ後の風物詩となっています。
僕自身の考えから言えば、声優現場は様々なジャンルの音楽が提供される場であり、画一的に楽しみ方を定める必要はないのではないかと思っています。ロックバンドのライブのようにモッシュがあってもいいと思うし、アイドルのライブのようにMIXや口上が入ってもいいと思う。色々な雰囲気を「声優」というくくりの中で楽しめたらいいな、というのが僕の考えです。
だからこそ、今までアイドルのような売り方をしてきた声優、ロックシンガーのような売り方をしてきた声優、色々な声優がいるホリプロ現場で画一的なルールがファンを縛ってしまうことに関して残念に思っています。
「事件」が起きてから1か月の間にホリプロも規制の内容に関して悩んだからこそこのタイミングで発表があったのではないでしょうか。この内容がベストという訳ではないと思うので、その場の雰囲気を壊さぬような、安全と観客の楽しみ両方を保障できるようなルールを探して行ってもらいたいなあ、というのが所感でした。